岩本壮一郎オフィシャルブログ

キャピタルフライトを呼び戻せ

岩本壮一郎のキャピタルフライト解説

必要なのは、成長戦略──キャピタルゲイン課税の見直しを訴えたい

日本の株式譲渡益にかかる税収を調べると、2023年度で8,000億円にとどまりました。
所得税全体が約19.7兆円であることを考えると、株式売却益に対する課税が占める割合はごく一部にすぎません。

この「数字の小ささ」こそ、私たちが本気で向き合うべき課題を浮き彫りにしています。


キャピタルゲイン課税の“本質”

株式投資とは、単なるお金儲けではなく、企業の成長に資金を供給し、社会にリスクマネーを循環させる行為です。
ところが日本では、この健全なリスクテイクに対して、20.315%という高い税率が課されています(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)。

税率が高ければ、投資家は利益確定をためらい、市場の流動性は失われます。
さらに、世界の投資マネーは税制の有利な市場へと流れ、日本市場はますます“選ばれない国”となってしまうでしょう。


項目日本シンガポール香港ドバイ(DIFC)
キャピタルゲイン課税20.315%(所得税扱い)非課税非課税非課税(例外あり)
配当課税20.315%(源泉分離課税)非課税非課税非課税(法人税課税を除く)
相続税・贈与税ありなしなしなし
法人税23.2%17%(中小企業は8.5%〜)16.5%(利益100万HKD超)最大9%(DIFC登録企業)
所得税(最高税率)45%(+住民税10%)約22%17%なし(個人所得税なし)
外国所得課税原則課税非課税非課税非課税
規制の柔軟性(STO・暗号資産)制度整備中積極的(サンドボックス制度あり)一部対応柔軟(STO・暗号資産に前向き)
特区制度の有無4都市で導入(2024年)都市全域が実質的な金融優遇エリア全域が税制優遇地域DIFCが金融特区として機能
金融行政の迅速性縦割りで調整に時間を要する迅速・ビジネスフレンドリー比較的柔軟非常に迅速・一元化された対応

キャピタルフライトを呼び戻せ

現在、多くの個人資産や機関投資マネーが、より有利な投資環境を求めて海外に流出しています。これは明らかに「キャピタルフライト(資本逃避)」の状態です。

富裕層や海外勢だけでなく、日本国内の中長期投資家でさえ、香港やシンガポール、アメリカ市場などに目を向けているのが現実です。このままでは、日本にお金は戻ってこない。企業も育たず、雇用も生まれず、地域経済も活性化しません。

日本が再び“投資先として選ばれる国”になるためには、キャピタルゲイン課税の見直しが避けて通れないのです。税率引き下げは、国内外からの資本を呼び戻す「経済外交」としての意味も持っています。


今、政治に必要なのは「成長を阻害しない選択」

キャピタルゲイン課税を引き下げることは、単なる富裕層優遇ではありません。市場の流動性を高め、起業と投資を促進し、ひいては税収全体を増やす「成長戦略」そのものですにもかかわらず、こうした視点で議論する政党や政治家は、極めて少ないのが現状です。


私は、やるべきことをやる。

この参議院選挙を前に、私は知り合いの国会議員に対して、政策要望書を送付しました。そこには、「金融所得課税の強化ではなく、キャピタルゲイン課税の引き下げこそが日本再生の鍵である」と明記しました。

口で批判するだけでは何も変わらない。ならば、自分にできる小さな一歩を、まず踏み出すべきだと思ったのです。


もしこの主張に共感いただける方がいたら、ぜひ声をあげてください。この国の未来を変えるのは、私たち一人ひとりの“アクション”だと、私は信じています。

金融特区の税制優遇措置の強化に関する提案提出文

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