熊本・氷川町、八代市の被災地支援に入って
自分にできることは何だろう。そう考えながら、一昨日から、熊本県の氷川町・八代市で災害支援活動をしています。
実際に現地へ入り、見て、聞いて、動いたからこそ感じたことがあります。これから支援に行かれる方、遠くから支援を考えている方の参考になればと思い、書き残します。
掲載している写真は、個人が特定されないよう、プライバシーに配慮しています。報道だけでは伝わりにくい現地の状況もあります。なお、一枚目の写真に写っているのは熊本城ではなく、八代城です。

全国の首長が集まった緊急ミーティング
今日は、全国380名を超える知事・市区町村長が参加する「活力ある地方を創る首長の会」の緊急Zoomミーティングに、樋渡啓祐さんのご紹介で、民間人として参加させていただきました。
200名を超える全国の首長らが集まるなか、八代市の小野泰輔市長から、被災地のリアルな状況と、いままさに必要とされている支援について共有されました。また、古賀市が支援のハブを担っていることから、田辺一城市長からも力強い支援の言葉がありました。

災害支援の形は、確かに進化していた
現地に入って最初に感じたのは、10年前の熊本地震、15年前の東日本大震災の頃と比べ、災害支援の形が大きく進化していることです。
国や自治体による「プッシュ型支援」が浸透し、避難所には、あらかじめ仕分けされた物資がまとまった単位で届けられています。小口の物資が次々に届いて仕分けが追いつかなくなるという状況は減り、10年前よりも格段にスムーズになっています。
一方で、小野市長もおっしゃっていましたが、今日必要な物資が、3日後にも必要とは限りません。被災地のニーズは刻々と変わります。そのスピード感も、現地で強く感じました。
私は東日本大震災の際、小口で集まった約50トンの物資を仕分けし、マグロ漁船で被災地へ届ける活動をしました。善意で始めた活動でしたが、物資を集めること、仕分けること、必要な場所へ届けることの難しさを痛感しました。今回、そのときの教訓が災害支援の仕組みに確実に生かされ、改善されていることを感じています。当時は、「まず動き、走りながら考える」「一刻も早く届ける」という考え方が、いまほど広く共有されていなかったように思います。
酷暑という、もうひとつの過酷さ
今回の災害には、酷暑のなかでの避難という過酷さもあります。
避難所には行かず、車中泊を選んでいる方も多いように感じました。プライバシーの問題や、それぞれの事情、ニーズの多様化が背景にあるのだと思います。しかし、猛暑のなかでの車中泊には、熱中症やエコノミークラス症候群の危険があります。避難生活が長引くほど、健康面の支援も重要になります。
2016年の熊本地震では、最大で約45万戸が断水しました。今回の地震では、現時点で約5万世帯の断水と報じられています。被害規模や集計時点が異なるため単純には比較できませんが、インフラの復旧力は確実に高まっていると感じます。
いま最も足りないのは、マンパワー
そして今回、最も必要とされているのは、マンパワーです。

自治体同士の連携は、かなり確立されています。物資も届く。制度も整いつつある。しかし、それを必要な人へ届ける手、泥や家財を片づける手、被災された方へ声をかける人が、まだまだ足りません。
Zoomミーティングで小野市長が強調されていたのは、保健師などの専門職だけではありません。罹災証明書の発行手続きをはじめ、膨大な事務作業を担う「一般事務職員」の派遣も、切実に必要とされています。「猫の手も借りたい状況であり、どんな方でもありがたい」。その言葉が、とても印象に残りました。
既存の公的な派遣制度では、時期的に十分な人員を確保することが難しい場合もあります。そのため、首長の会のネットワークを活用し、柔軟に人員を集めていくことも確認されました。
この議論を聞きながら、行政だけに頼るのではなく、民間の力を平時から災害支援の仕組みに組み込んでおく必要があると、強く感じました。
「個人完結型」で動くということ
私自身も今回、できる限り「個人完結型」で活動しています。

現地で片づけのボランティアを行い、夜は氷川町・八代市を離れて宇城市まで戻り、車中泊をする。そして翌朝、再び現地へ向かう。現地の行政や、被災された方々に余計な負担をかけない。食事、宿泊、移動、飲み物、着替えなど、自分のことは可能な限り自己完結する。これが、個人で支援に入る際の基本だと改めて感じています。
これからの課題──個人と個人が、直接つながる仕組み
今回の活動を通じて、これからの課題も見えてきました。
現在の公的な災害支援は、主に「国・自治体から自治体へ」「自治体から個人へ」という流れで行われています。しかし、車中泊など避難所の外で生活している方も多く、なかには必要な情報や支援が十分に届いていない方もいます。
今後必要になるのは、「支援を必要とする個人」と「支援できる個人」が直接つながれる仕組みではないでしょうか。「この地区で片づける人が足りない」「軽トラックを出せる」「事務作業を手伝える」「明日なら現地へ行ける」。こうした情報を、本人確認や安全性を確保しながらマッチングできるアプリやプラットフォームが平時から整っていれば、次の災害では、もっと早く、もっと多くの人が動けるはずです。
Zoomミーティングでも、同様の意見が出ていました。こうした仕組みの開発が、日本全体の防災力を高めることにつながってほしいと、強く感じます。
現地に行けない方へ──義援金という支援

もうひとつ、伝えたいことがあります。「現地には行けないけれど、何かしたい」。そう考えている方にとって、とても大切な支援が、義援金です。
義援金は、配分委員会などを通じて、被災された方々へ公平に届けられるお金です。一方、一般的な寄付金は、自治体やNPO、支援団体などによる支援活動や復旧事業の費用として使われる場合があります。どちらも大切ですが、目的が異なります。
義援金は、被災された方ご本人が、生活の立て直しのために本当に必要なものへ使うことができます。家財を買い直す方、修理費が必要な方、仕事を休まざるを得ない方、移動費や当面の生活費が必要な方。必要なものは、人によって違います。物資や制度だけではカバーしきれない、一人ひとり異なるニーズを支えられるのが、義援金です。
現地の声を聴いたからこそ感じます。家の片づけにも、生活の立て直しにも、最後にはどうしてもお金が必要になります。
現地で「汗をかく」方へ──個人完結型ボランティアの実践ポイント
実際に動いてわかった、個人完結型ボランティアのポイントをまとめます。
宿泊場所は被災地の外で確保する。 私は宇城市まで戻って車中泊をしました。住宅倒壊などが多い被災地域の駐車場所や生活インフラを圧迫しないためにも、八代市や氷川町などでの車中泊は、可能な限り避けた方がよいと思います。熊本市内にも通常営業している入浴施設が多数あります。私は平山温泉まで行きましたが、ほぼ貸し切り状態でした。

移動時間をずらす。 宇城市方面から八代市へ向かう道路は、時間帯によってかなり渋滞します。早朝に移動し、夜間に撤収するなど、混雑する時間を避ける工夫が必要です。
小口の物資を単独で持ち込まない。 ペットボトル数本など、少量の物資だけを届けるために渋滞のなかを移動しても、支援の効率は高くありません。私が確認した範囲では、現地のスーパーにも商品が並んでいました。物資支援は、現地のニーズを把握し、まとまった量を届けられる団体や支援者へ託す方が効果的です。
大きなゴミ袋や作業用品を準備する。 90リットルのゴミ袋は、片づけ作業で非常に重宝されています。軍手、厚手の手袋、マスク、安全靴なども、作業内容に応じて準備してください。

自分の水分は自分で持参する。 飲み物はクーラーボックスなどに入れ、十分な量を持参してください。酷暑のなかでは、支援する側が倒れないことも大切です。無理をせず、こまめに休憩を取る必要があります。
着替えは多めに用意する。 作業中は大量の汗をかき、何度も着替えることになります。被災地域のコインランドリーは、地元の方が生活を立て直すために必要な場所です。現地での洗濯をあてにせず、着替えを多めに持参することをおすすめします。
腰を守る準備も忘れずに。 荷物運びや片づけ作業は、想像以上に腰へ負担がかかります。腰用コルセットなど、必要に応じて準備しておくと安心です。
その一つひとつは、微力でも
「何かしたいけれど、自分なんかが行っても……」。そう思っている方に伝えたいです。
現地へ行くことだけが支援ではありません。義援金を届けること。信頼できる情報を広めること。防災について家族で話すこと。どれも立派な支援です。その一つひとつは微力でも、決して無力ではありません。
被災された方々が、一日でも早く日常を取り戻せること。そして、災害の多いこの国で、次に何が起きても、日頃の備えと支え合いによって被害を最小限に抑えられることを、心から願っています。












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